連載『point of view』第2回 イリモトメディカル代表 煎本正博氏
テーマ:事務所移転の目的と読影医の作業環境

2011.06.13

イリモトメディカル代表 煎本正博氏
 web連載「point of view」は各回のテーマに対し、様々な分野の医師にご意見を伺い、その鋭い視点などを深く探るコーナーです。
今回のテーマは「事務所移転と読影環境」です。

 「point of view」の連載第2回目は、2011年5月1日に事務所の移転を行った、イリモトメディカル代表の煎本正博氏に、事務所移転の目的と読影医の作業環境について伺いました。
 

イリモトメディカルでは、セキュリティ対策として入口には指紋認証がついている。
LEDの間接照明。読影する画像によって明るさの微調整を行う。
エルゴヒューマン製のイス。背中や腰等にかかる負担や不快感を軽減する、人間工学に基づいた設計がなされている。
読影環境を考えた読影室。足もとにはフットレスト。
読影環境整備のために設置した、エルゴトロンのアーム。前事務所でも設置しており、3月11日の地震の際にはモニタの転倒と破損を防いだ。
 
 
 
-事務所移転のきっかけ
 一番の理由は前のオフィスが狭くなってきたからですね。業務が増加し、常勤の読影医も、非常勤の読影医も増えました。私のところでは、読影アシスタントという事務職員を雇用し、雑用に煩わされず読影医が読影に専念できるようにしており、この職員も増えてきたため、前のオフィスでは手狭になってきました。
 ただもう一つは私自身、“読影医の読影環境改善”という学術的目標を持っています。作業環境が悪いと仕事の効率も悪くなります。また、それが原因で画像診断医が、頸腕症候群ですとかVDT障害などの病気になったりもしてしまいます。画像診断というのは厚生労働省のVDTガイドラインの中で作業 環境整備をしなくてはいけない業種とされています。
 イリモトメディカル内のみの読影環境を整備することだけではなく、放射線科医の読影環境改善が重要であるということを学術的に訴えてゆくことが、私の重要な仕事だと考えています。このオフィスは作業環境改善の一つのモデルとして作りました。ここでの試行錯誤・経験を学会等に報告し、読影作業による放射線科医の健康障害を減らせるようにしたいと思っています。

 
 
 
-読影環境向上のために
 読影環境整備には費用が発生しますが、予算がなく、病院の読影室の環境整備が遅れているという現実があります。放射線科自身が読影環境整備の重要性を認識し、病院側にその整備を要求してゆくことが大切です。そのためには読影医の病院にもたらす経済効果についてしっかり主張していくことが重要だと考えています。
 イリモトメディカルは、読影業務による収益のみでこれだけの設備投資を行い、読影アシスタントを雇用しています。放射線科医にそれだけの経済効果があるということを、放射線科医は自覚するべきです。
 自分たちの経済的効果を示すことで、環境整備の予算を確保して、読影環境を良くし、読影の質を高める。さらに、自らの健康を保つことでその質の高い読影をより長く続けて医療の質の向上に寄与することは、日々の修練と同様、読影医として行うべき重要な責務であると考えています。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 

煎本先生、ご協力いただきまして誠にありがとうございました!
株式会社イリモトメディカル
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