東芝メディカルシステムズ、Aquilion ONE™ / ViSION FIRST Editionの販売開始~逐次近似再構成を搭載した3rd Generation Area Detector CT~

2015.09.13

 東芝メディカルシステムズ(株)(以下、東芝メディカルシステムズ)は、逐次近似再構成 を搭載した320列Area Detector CT 「Aquilion ONE™ / ViSION FIRST Edition(アクイリオン ワン / ビジョン ファースト エディション)」の国内販売を本日より開始する。
 近年、画像診断において、X線CT装置は重要な役割を果たしており、検査を受ける患者のためにより一層の被ばく低減と、画像診断をする医師のために、さらなる画質の向上が求められている。これら要望の実現のため開発されたのが順投影適用モデルベース逐次近似再構成(FIRST:Forward projected model-based Iterative Reconstruction SoluTion)だ。FIRSTは、従来のX線CTの画像再構成(FBP:Filtered Back Projection)に比べ、低線量で高画質な画像の提供が可能な新たな画像再構成である。
 本製品は神戸大学および広島大学において共同研究を行っている。
大野良治特命教授(神戸大学)からは、「FIRST は、胸部単純X 線写真の被ばく線量に近い低線量肺がんCT 検診以外の日常臨床にも拡大でき、国民のX 線被ばく低減につながる。また、低線量CT による形態診断と機能診断の融合画像の普及により、様々な薬理作用や生理機能改善を画像化することによる薬効評価や個別化医療が可能となる。」との評価をいただいている。
 粟井和夫教授(広島大学)からは、「通常X 線量の腹部CT に対してFIRST を使用した場合、従来の逐次近似応用型再構成では成し得なかったコントラスト分解能の劇的な改善が認められる。従来のCT では、検出できていない肝病変が相当数あったと思われるが、そのような病変についても今後はFIRST により検出できる可能性がある。」との評価をいただいている。
 また4月18日(土)の第74 回日本医学放射線学会総会学会共催ランチョンセミナーで、大野良治特命教授から本技術に関する講演を、4月17日(金)~19日(日)のITEM2015国際医用画像総合展(パシフィコ横浜)で本製品を展示する。
 
新製品の特長
1.空間分解能の向上

 FIRST では、焦点や検出器マトリクスサイズなどの幾何学的情報を考慮した光学モデルを適用することによって、より正確な画像再構成が達成でき、ボケの改善や空間分解能の向上が可能となる。FBP では高周波成分を強調させる再構成関数を用いると、オブジェクト辺縁にアンダーシュートやオーバーシュートが目立つ場合がありますが、 FIRST では再構成関数を用いないため、これらの発生を抑制した画像の描出が可能となる。
 
2.低コントラスト検出能の向上
 FIRSTでは、システムモデル、統計学的ノイズモデルなどの各種モデルを効果的に適用している。これにより、淡いコントラスト形状を保ちつつノイズを低減することが可能となり、FBPより低コントラスト検出能向上が期待できる。また、診断の妨げとなる、肩や骨盤などの骨に囲まれた領域や腕おろし検査時等に発生するストリークアーチファクトも、飛躍的に低減することが可能だ。
 
3.被ばく線量の低減
 FIRSTでは、ルーチン検査に限らず、動態検査や小児検査など、より低線量撮影が望まれる検査に適用できる。逆投影(Back Projection)と順投影(Forward Projection)の繰り返し処理の過程で、ノイズ成分のみを効果的に除去することができるため、FBPによる再構成画像と同レベルの画質であれば、より低線量で撮影可能で、特に低線量撮影になるほどノイズ除去効果は大きくなる。
 
4.精査で使用可能な画像再構成速度を実現
 新開発の専用画像再構成システムにより、FBPと並列でFIRSTの処理を実施することができ、FIRSTの膨大な演算量に対しても、精査で使用可能な画像再構成速度を実現している。また、FIRSTでは、胸部のような高コントラスト領域と、腹部のような低コントラスト領域を考慮し、複数のパラメータから最適なものをユーザが自由に選択できる。
 
□一般的名称 全身用X線CT診断装置
□販売名 東芝スキャナ Aquilion ONE TSX-301C
□認証番号 224ACBZX00004000
 
■本資料に関するお問い合わせ
東芝メディカルシステムズ株式会社
広報室 江野 0287-26-5100
 
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